公文書偽造、私文書偽造の違い | 文書偽造で逮捕された時に不起訴を獲得するには

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文書偽造罪

文書偽造罪で逮捕された場合の刑罰

公文書偽造罪

有印公文書の場合1年以上10年以下の懲役(刑法155条1項)
無印公文書の場合3年以下の懲役または20万円以下の罰金(刑法155条3項)

私文書偽造罪

有印私文書の場合3月以上5年以下の懲役(刑法159条1項)
無印私文書の場合1年以下の懲役または10万円以下の罰金(刑法159条3項)

電磁的記録不正作出・供用罪

5年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法161条の2第1項)
公務所または公務員により作られるべき電磁的記録の場合10年以下の懲役または100万円以下の罰金(刑法161条の2第2項)

有印私文書偽造罪、有印私文書変造罪

3月以上5年以下の懲役(刑法159条1項、2項)

無印私文書偽造罪、無印私文書変造罪

1年以下の懲役または10万円以下の罰金(刑法159条3項)

文書偽造罪とは

文書偽造罪は、文書及びこれに準じる電磁的記録の偽造を処罰するもので、文書や電磁的記録に対する関係者の信用を保護するために規定されたものです。 ここでいう文書とは、文字またはこれに代わる可視的符号により、一定期間永続すべき状態において、ある物体の上に記載した、人の意思・観念の表示とされています(明治時代の大審院の判例があります)。 文字や符号により読むこと、見ることができるものでなければならないため、音声テープ、ビデオテープ、電磁的記録は文書にはあたりません(そのため、別途、電磁的記録を不正に作出したことなどを処罰する規定が設けられました)。 紙に記載されることが多いですが、媒体は紙に限定されません。 ある程度の期間、媒体に記載された文字や符号が認識しうる状態で続くことが必要ですから、たとえば黒板にチョークで記載したものは、消さない限りはある程度の期間、認識しうる状態が続くため文書にあたりますが、波打ち際の砂に文字を書いたようなものは、すぐに消えてしまうので文書にはあたらないとされています。 内容として人の意思・観念を表示したものであることが必要で、一定の意味を持ったものでなければなりません。 文書偽造罪は文書に対する信用を保護するためのものですから、全く無意味な表示は保護の対象とはならないのです。 また、偽造とは、一般に作成名義を偽ること、つまり作成権限がない人が他人名義の文書を作成することをいい、有形偽造ともいいます。 これに対して、作成権限のある人が虚偽の内容の文書を作成することを、無形偽造といいます。 さらに、真正に成立した文書に変更を加えることを変造といいます。 無形偽造が処罰されるかは文書の種類によって異なりますので、後で詳しく解説します。

公文書偽造とは

公文書偽造罪は、行使の目的で、公文書を偽造する罪です。 ここでいう公文書は、公務所や公務員がその名義において、権限の範囲内で作成すべき文書や図面をさします。 ですから、公務員が作成するものでも、退職願のような職務執行とは関係のないものや、公務員としての肩書が記載された私的な挨拶状などは、公文書にはあたりません。 具体的には公文書とは次のようなものがあげられます。 公文書、住民票、戸籍謄本、運転免許証、保険証、旅券、印鑑登録証明書、裁判所の判決書、審判書、調停調書など 公図面、法務局の土地台帳付属の図面など

公文書のうち、公務所・公務員の印章や署名があるものを有印公文書、ないものを無印公文書といいます。 一般に、公務所・公務員が作成すべき文書は私人が作成する私文書よりも信用性が高いことから、公文書の偽造は私文書の偽造よりも重く処罰され、公文書の中でも印章・署名のある方がより信用性が高いため、有印公文書偽造の方が無印私文書偽造より重く処罰されることになっています。 また、このような偽造にかかる公文書、公図面を行使した場合、偽造公文書行使罪が成立します。

公文書偽造行使罪とは

公文書偽造行使とは、偽造された公文書、公図面を真正に作成された公文書、公図面として人に認識させ、または認識可能な状態に置くことをいい、方法・態様は問いません。 たとえば、偽造した運転免許証を所持しただけでは人に認識させ、または認識可能な状態に置いたとは言えないので行使にはあたらず、身分証明書して利用したときや検問の際に警察官に提示したときに行使したといえるのです。 他方、登記簿は公務所に備え付ければ公衆が閲覧可能な状態になるので、偽造された登記簿を備え付けた時点で行使にあたるとされています。 通常は文書を偽造した者が行使することが多いですが、他人が偽造した公文書を、偽造されたものであることを知ったうえで行使した場合でも、偽造公文書行使罪が成立し、偽造公文書行使罪の法定刑は公文書偽造罪と同じです。

私文書偽造とは

私文書偽造罪は、行使の目的で私文書を偽造する罪です。 私文書とは、公文書以外の文書で、権利、義務または事実証明に関する文書または図面をいいます。

有印私文書偽造と無印私文書偽造の違いは

権利・義務に関する文書とは、法律上の権利や義務を発生・存続・変更・消滅させることを目的とする意思表示を内容とする文書のことで、借用証書、催告書などがこれにあたります。 事実証明に関する文書とは、実社会生活に交渉を有する事項を証明する文書のことで、過去の裁判例によれば郵便局への転居届、私立大学の成績原簿、私立大学の入試の答案、求職のための履歴書などがこれにあたると判断されています。

このような私文書のうち、作成名義人の印章または署名のあるものを有印私文書といい、印章・署名のないものを無印私文書といいます。

私文書偽造と私文書変造の違い

有印私文書偽造罪は、作成権限のない者が他人の印章または署名を使用するか、偽造した印章または署名を使用して、私文書を偽造する罪です。

有印私文書変造は、他人が押印または署名した私文書について、権限のない者が変更を加える罪です。

法定刑はいずれも3月以上5年以下の懲役と定められています。

無印私文書偽造罪と無印私文書変造の違い

これに対し、無印私文書偽造罪は、作成権限のない者が印章・署名の記載のない私文書を偽造する罪で、無印私文書変造は印章・署名の記載のない私文書に権限のない者が変更を加える罪です。 法定刑はいずれも1年以下の懲役または10万円以下の罰金と定められています。

このような偽造、変造された私文書を行使した場合、偽造私文書等行使罪が成立します。

行使の意味については、先ほどの偽造公文書行使で解説したとおりです。

公文書偽造と私文書偽造の違い

公文書偽造と私文書偽造の最大の違いは、作成名義の違いにあります。 前者は公務所または公務員が職務上作成すべき文書であるため、後者よりも信用性が高く、したがってより信用性保護の必要性が高いことから、重い法定刑が定められています。 また、公文書については、作成権限のある者が行う無形偽造、つまり虚偽の内容の公文書を作成することも処罰されることになっています。 刑法156条は、公務員が、職務に関し、行使の目的で虚偽の文書・図面を作成し、または文書、図面を変造した場合、公文書偽造罪と同様の刑罰を科すことを規定しています。 これに対し、私文書の場合、一部の例外を除き、無形偽造は処罰されません。 一般の私文書の場合、刑罰を科してまで内容の真実性を担保するほどではないと考えられているためです。 私文書の無形偽造、いいかえれば内容虚偽の私文書を作成することが例外的に処罰されるのは、虚偽診断書等を作成した場合です。 刑法160条は、医師が公務所に提出すべき診断書、検案書、死亡証書に虚偽の記載をした場合、3年以下の禁固または30万円以下の罰金に処すると定めています。 私文書であっても、公務所に提出する診断書等は公的な色彩が強いため、例外的に刑罰により内容の真実性を確保しようとしているのです。

不正作出電磁的記録供用罪とは

電子計算機(コンピューター)の普及により、文書に代って電磁的記録が利用されるようになってきました。 そこで、昭和62年の刑法改正で、文書の場合の偽造に対応する罪が新たに設けられました。これが電磁的記録不正作出罪です(刑法162条の2)。 私電磁的記録不正作出罪は、人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務または事実証明に関する電磁的記録を不正に作る罪で、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。 電磁的記録が公務所または公務員により作成されるべきものであるときは、公電磁的記録不正作出罪となり、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。 権利、義務に関する電磁的記録は、銀行の預金元帳ファイルの残高記録、プリペイドカードの残額記録(私電磁的記録)、住民基本台帳ファイルの記録(公電磁的記録)などがあります。 事実証明に関する電磁的記録としては、顧客データベースファイルの記録などがあります。 また、文書偽造における行使と同様、不正に作出された電磁的記録を使用することも処罰の対象とされています。 これが不正作出電磁的記録供用罪で、不正に作出された電磁的記録を、人の事務処理を誤らせる目的で人の事務処理に供した場合、電磁的記録不正作出罪と同一の刑罰に処せられます。 人の事務処理の用に供するとは、電磁的記録を、他人の事務処理のため、電子計算機において利用できる状態に置くことをいいます。 具体的には、不正に作出されたキャッシュカードの場合はカードをATMに差し入れることであり、顧客データベースの場合にはデータベースを利用できる状態にすることをさします。

文書偽造罪で逮捕され、すぐに接見・面会をお考えのご家族様

文書偽造罪で逮捕されてからの72時間以内は、逮捕者との接見・面会は弁護士にしか認められていません。 逮捕された場合、逮捕から勾留の決定が下されるまで原則として最大72時間は弁護人以外は、家族であっても面会は困難な状況になります。 さらに、警察・検察等の捜査機関の請求により、裁判所が接見禁止の決定(組織的犯罪、否認など)を出せば、勾留中も外部と遮断された拘束が続きます。 しかし、弁護士である弁護人は、逮捕直後からの接見・面会が可能で、例え接見禁止が付いていても関係なく接見・面会ができます。 祝祭日や深夜・早朝でも、1日何回でも、時間の制限なく、警察官の立ち会いなしで、接見・面会し、逮捕者とご家族様の精神的な支え、架け橋になる事ができます。 また、文書偽造罪で逮捕された場合、早い段階からの刑事弁護活動を行うことにより十分な証拠がないを立証することにより不起訴になる可能性が高くなります。 文書偽造で不起訴を獲得する刑事弁護はスピードがとても重要です。すぐにでも接見からの刑事弁護活動依頼をお勧め致します。

初回接見・面会 逮捕時からの刑事弁護活動

離婚届を勝手にサインされ、出された場合

離婚届は私人が作成するもので、婚姻関係を解消するものであり権利義務に関する文書といえ、夫と妻の双方の署名押印が必要とされることから、有印私文書に該当します。 また、役所に提出することは離婚届の本来的な使用方法であり、これによって離婚届が真正に成立したものと認識されるので、偽造有印私文書を行使したといえます。 したがって、離婚届に勝手にサインをし、役所に提出した場合、有印私文書偽造、同行使罪が成立します。 なお、実際には離婚の合意がないのにあったかのように装い、公務員に戸籍に離婚という虚偽の事実を記載させることになるので、公正証書原本不実記載罪(電磁的公正証書原本不実記載罪)も成立します。


契約書に捺印を頂いたが、項目が足りないので勝手に内容を追加した

契約書は私人が作成するもので、権利義務に関する文書であり、相手方の署名押印がある場合には有印私文書に該当します。 相手方の押印署名した契約書に勝手に内容を追加することは、権限のない者が内容を変更することですから、変造にあたります。 したがって、有印私文書変造罪が成立します。


友達の通帳と印鑑で勝手に引き出した場合

通帳と印鑑で預貯金を引き出す場合、払戻証書などの書面に預金者の名前を記入し、届出印を押印し、窓口に提出する必要があります。 払戻証書などは有印私文書に該当し、それを金融機関の窓口に提出することは行使にあたります。 したがって、有印私文書偽造罪、同行使罪が成立します。 また、金融機関の担当者は、払戻証書を持参した人物が預金者本人ではなく、何の権限もない者だとわかっていれば引き出しには応じなかったはずです。 この場合、預金者本人であるかのように装い、金融機関の担当者はそれを信じて預金を引き出して現金を交付したことになりますから、金融機関に対する詐欺罪も成立します。


旦那が勝手に母の名義を使いクレジットカードを作った場合

クレジットカードを作るには、申込書などの書類に申込者の署名・押印をする必要があります。 申込書などは有印私文書に、それをクレジットカード会社に提出することは行使に該当します。 したがって、有印私文書偽造罪、同行使罪が成立します。 また、この場合も、母が申し込んだように装い、これを信じたクレジットカード会社にカードを作成させ、送付させたことになりますから、詐欺罪も成立します。


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